ヴェネチア:高い評価を受ける日本の映画監督、是枝裕和氏は、友情、野心、喪失を描いた漫画との偶然の出会いが、ベストセラー作家・藤本タツキ氏の作品を初めて実写化した映画『ルック・バック』の制作のきっかけになったと語った。
月曜日にヴェネチア国際映画祭で初公開される『ルック・バック』は、漫画を描くことへの情熱で結ばれた2人の女子高生が、大人になるにつれて運命によって別々の道を歩むことになる物語だ。
『万引き家族』、 『そして父になる』』『誰も知らない』といった作品でカンヌ国際映画祭で受賞歴を持つ是枝監督は、コロナ禍のさなかに偶然、藤本タツキ氏の2021年の漫画を手に取り、困難な時期にそこから慰めを得たと語った。
「藤本氏にお会いした際、まずは感謝の意を表し、このような漫画を描いてくださったことに感謝したかった」と、ヴェネチアで通訳を介して記者団に語った。
「私は映画監督ですから、もし本当に感謝の気持ちを具体的な形で示したいと願うなら、それを映画化することが自然な次のステップでした」と彼は付け加えた。
確かな筆致
日本独自のコミックやグラフィックノベルである「マンガ」は、数十億ドル規模の世界的な産業へと発展し、事実上あらゆるジャンルの物語を生み出し、映画、テレビ、アニメーションへの成功した翻案作品も数多く生み出している。
「かつては『漫画ばかり読んでいるとまともに育たない』と言われていましたが、その認識は変わりました」と彼は語った。「今や私たちは、漫画を古典文学のように読む世界に住んでいるのです」
是枝監督は、マンガの創作プロセスに魅了され、二人の主人公の関係性の変化を通じて、それをスクリーン上に描き出そうとしたと語った。
「私にとって重要なテーマの一つは、ペンそのものの音の変化でした」と彼は語り、若いアーティストたちが成長するにつれて、ためらいがちな引っかき音が徐々に自信に満ちた筆致へと変わり、やがてデジタルペンの柔らかなタップ音へと移り変わっていく様子を説明した。
出演者の出口夏希、蒔田 彩珠、七瀬ふうり、岡田六花は、撮影開始前から数ヶ月かけて漫画の描き方を習得し、その作品の一部は完成した映画にも登場している。
「一番大変だったのは、間違いなく漫画の描き方の練習でした」と、若い頃の藤野役を演じた七瀬は語った。 「漫画を描くのがどれほど大変なのか、本当に理解していませんでした。本当に難しいです」と彼女は付け加えた。
『ルック・バック』は、土曜日に授与されるヴェネチア国際映画祭の金獅子賞を争う21本の作品の一つだ。
ロイター